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彼の視界には痩せ衰えた村人の姿があった。寝込んでいるのか、外を出歩いている村人は少ない。簡素なテントの中から嘔吐の声が聞こえた。足を向け、入り口から様子を伺う。
男性が寝床で食物を吐き出している。その吐瀉物の中に、黒い血液が混じっている。入り口に佇んでいる余所者に関わる余裕がないほど状況は切迫しているようだ。
バーンハルトは再び歩き出す。歩きながらも周りの村人から憎悪の視線を向けられているのがわかる。
クリムゾンは憎まれて当然の存在なのだ。人類全体の為とはいえ、誰が人々を攫い、人体実験の材料にするような輩を好んで招きいれようか。
だが殺意に混ざって、奇妙な視線を感じたバーンハルトはその方向に眼を向ける。視線の持ち主は痩せ細った少女だ。服は汚れており、髪もボサボサ。少々怯えた様に物影に隠れながらちらちらとこちらを見ている。瞳は物珍しさに輝いている様に見えるが、他にも何らかの感情も持ち合わせている様だ。
しかし、バーンハルトは少女に用はない。そのまま少女の視線を受けながら歩を進めた。