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一礼して部屋に入る。
マントを脱ぎ、ミラーシェイドを外す。マートンの時とはうって変わって深みのある言葉で返答する。ソファに腰掛け、その人物、レジナス・シュピーゲルを見つめる。
豊かなひげが彼の風格を醸し出している。黒と白が入り混じった頭髪は短く刈り込まれ、白い眉毛の下にある眼は刃のような鋭さを持っている。バーンハルトが所属する組織『クリムゾン』のナンバー2にして、実質的な総合司令官。
唯一バーンハルトが信頼をおく上官でもある。
「呼んだのは……この件についてだ」
提示された資料に示されていたのは、ある新興勢力についてだ。名もない無名の勢力ではあるが、細菌を使用出来る程の組織力を駆使し、村々に出没しては殺人、恐喝を行っているそうだ。
今の時代では細菌の管理は非常に難しく、まともに扱える者は小数だ。その少数の人間ですら、大規模な組織による設備があってはじめて管理する事が可能となる。
「この組織と、襲われた村々について調査してもらいたい」
バーンハルトは頷き、資料を受け取る。
「ところで……」
資料を手渡したあと、レジナスは人工合成のコーヒーに口をつけ、
「お前の『目的』は今どの段階まで進んでいるんだ?」
思考するバーンハルトに静かに語り掛ける。
視線を窓に移す。見えるのは果ての無い砂漠。